死亡保険金受取人とは、生命保険金を実際に受け取る人のことを言います。
死亡保険金受取人は、契約者が指定をします。
誰でも指定できる訳ではなく、原則は2親等内または3親等内の親族に限定されています。
親族に限定されているのだから揉めることもないだろう・・・というのは少し甘いかもしれません。
お金が関係すると何があるかわかりませんので・・・しっかり事前にリスクを理解しておきましょう。
今回は死亡保険金の指定で揉めるケースについてご紹介します。
揉めるケース1:渡すようにお願いする
死亡保険金受取人は配偶者や子供だけでなく、親や兄弟にもすることができます。
そこで自分の配偶者や子供ではなく、仲の良い兄弟を死亡保険金受取人に指定をして、万が一のことがあったら配偶者や子供に渡すようにお願いするケースが稀にあります。
配偶者の方があまり頼りにならなかったり、子供がまだ小さい場合などにこのようなことが起きるようです。
しかし、色々な問題が発生する可能性があります。
問題1:固有財産
まず生命保険は民法上、死亡保険金受取人の固有の財産となっています。
つまり兄弟にしてしまうと預かったお金ではなく、兄弟のものになってしまう上に、相続財産にならないため分割でもらうことさえできない可能性があります。
兄弟の方から「俺の財産だよ」って言われた終わりですね。
保険金が固有財産とみなし相続財産とかはこちらの記事をどうぞ
問題2:相続税
次に相続税の問題です。
民法上は相続財産ではないのですが、税法上はみなし相続財産となるため、相続税がかかってしまう可能性があります。
兄弟としては受け取ってあげたのに納税をしないといけないとなってしまうので迷惑ですよね。
問題3:贈与税
最後に贈与税の問題。
一度受け取ってしまってから大金を配偶者の方などに移動すると贈与とみなされて高額の税金がかかってしまう可能性があります。
どの点をとっても渡したいと思っていない人を死亡保険金の受取人に指定するのリスクがありますね。絶対にやめましょう。
こちらの記事も参考にしてみてください。
揉めるケース2:特定の子供にまとめて渡す
子供が複数人いる方で、「とりあえず長男に任せよう」ということで全て長男に保険金が入るように指定するのも避けましょう。
理由は、揉めるケース1と同じです。
兄弟だから揉めないどころか、近い関係だからこそ揉めることがあります。
それなら子供複数名それぞれに指定をすれば?と思った方は次の記事を参考にしてみてください。
>>生命保険金受取人を子供複数名にできる?メリット・デメリットは?
揉めるケース3:固有財産であることを逆利用
生命保険金は、原則、死亡保険金受取人の固有財産です。
つまり渡されたお金ではなく、もともと自分(保険金受取人)のお金ということですね。
生命保険金は固有財産であるため、原則、相続財産には含まれません。
これを悪用して特定の人に全てあげるように高額な保険金をかけるということを考える方がいるようです。
例えば、ある人の相続財産が1億円あり、子供が5人いるけど、特定の子に全て渡せるように保険金1億円にして受取人をその特定の子にするということです。
固有財産ということを考慮すると、相続財産は全て保険金に変わってしまっていて、受取人が指定されているのですからその受取人が受け取って終わり、という感じもしますが、そんなあっさりとはいきません。
固有財産となるのはあくまで原則であり、原則があるのであれば例外があります。
例外規定は明確ではありませんが、見逃せないほどの不平等な状態であれば保険金を相続財産に含めて分割するということになる可能性もあります。
最後に
特定の人にお金を渡せるという金融商品は基本的には生命保険しかありません。
また残された人を守るという特徴があるため、非課税だったり固有財産だったりと色々な良い点があるのだと思います。
あまり変なテクニックに走らずに渡したい人に一定の金額を渡せるように生命保険を活用しましょう。