現在、先進国の中で特に高齢化が進んでいるのが日本という国です。
最初に高齢化を迎えている国であるため前例がなくその点では日本がどのように対応していくのかが世界から注目をされています。
高齢化が進むと色々な問題がでてきますが、その一つに認知症患者の増加です。
認知症になると法的な判断ができなくなってしまうため契約関係などは特に事前に対策が必要です。
生命保険も契約ですから、事前に対策が必要でしょう。
今回は、死亡保険金受取人が認知症になるリスクについてです。
死亡保険金請求の流れ
死亡保険金は、請求をしないともらえません。
大事なところなのでもう1回。
死亡保険金は、自分から請求をしないともらえません。
10年以上前に起きた保険金不払い問題の時にも問題になりましたが、死亡すると勝手に保険会社が支払ってくれると思っている人が意外といるようです。
市役所に死亡届けを出したら保険会社に情報が回る・・・なんてことがあったら個人情報漏洩どころではありません。
しかも保険会社はたくさんあるので市役所などが市民の保険加入状況を全て抑えているなんてことはありませんよね?
だから死亡保険金を受け取りたいのであれば、保険会社に連絡をして請求書を取り寄せないといけません。
死亡保険金受取人には保険に入っていること、保険証券の保管場所はしっかり伝えるようにしましょう。
認知症になると受取人変更が必要?対応策は?
死亡保険金受取人が認知症になってしまったらどうなるのでしょうか?
この場合、この認知症になってしまった方から死亡保険金を請求することはできません。
認知症になってしまった場合には、成年後見制度を利用します。
通常は、この成年後見制度を利用して後見人をたてて、その後見人が死亡保険金を請求するという流れになります。
認知症になってしまうと、ご本人では請求ができないということになります。
法定後見制度の後見人等の詳細については検索をして調べてみてください。
すごく簡単いうと「法律に乗っ取って、自己判断ができない方をサポートする」制度です。
専門家に相談して、後見人を受けてもらうことが普通だと思いますが、その場合、月々いくらといった費用が発生します。
可能であれば認知症になる前に対応をしたいところですね。
対策方法をご紹介します。
死亡保険金受取人を変更する
死亡保険金の変更は契約者が書類を請求するなどの手続きをすれば、変更することができます。
しかし、その方が死亡保険金を受け取らないといけない場合(相続の対策など)には、この方法だと保険加入の目的が満たせなくなるので注意が必要です。
指定代理請求をつける
指定代理請求とは、名前の通り代わりに請求する人を指定できる制度です。
ただし、請求をできる制度ですから結局、認知症の方の手元に資金がいってしまうと、結局は困るということにもなりかねません。
信託を利用する
信託とは「自分の財産を、信頼できる人に託して、自分の意に沿うように管理してもらう」制度のことを言います。
信託には色々な条件を付けることができるため「自分が認知症になったら〇〇する」等の信託契約をしておくと、認知症になった場合でも自分の意に沿う形で対応をしてもらえます。
後見制度との違いは、後見制度だとお金の使い道に制限が多いが、信託は自由度が高いということです。
せっかく後見人をつけても制限が多いのでは残された人が困ってしまいます。
信託制度の問題は、専門家が少ないこと、事例が少ないことだと言われています。
私が以前参加したセミナーでも士業の先生が「信託を使うとこのようになるはずだが、事例がないのでうまくいくかわからない」と言っていました。
ただ繰り返しになりますが、自由度が高いのであなたの希望通りの内容に信託を組むことができます。
弁護士や行政書士など専門家への報酬は必要ですが、しっかりと対策をするためには費用はつきものです。必要な経費だと思いましょう。
本人が考えて動くことが大切
認知症対策だけではなく、相続にしても、自分に万が一のことがあった場合のことの対策をしないといけないのは本人自身です。
自分のことなのにしっかり考えずに放置をする無責任な方が多いのが実情です。
認知症の件ではありませんが、私の知り合いが相続の対策をした方が良いと提案をしたある人から「自分の棺桶を自分で用意しろというのか!!」と言われたという話を聞いたことがあります。
自分のことなのだから当然です。
でももちろんこんな言われ方をしたら、善意の提案をする気も無くなるでしょう。
あなたは無責任なことはせず自分に万が一のことがあった時の対策をしておきましょうね。
「さすがですね。しっかり対策をしてくれていたんだね。」と周りの人から言ってもらえるようにしましょう。