今回は一時払終身保険についてです。
一時払終身保険は、銀行の窓口販売で多く販売されていた保険商品です。
銀行の窓口販売だけではありませんが、保険会社が窓口での販売を強化していたために銀行窓口販売での件数が多くなっています。
一時払終身保険とは?
一時払終身保険とは、どのような商品なのでしょうか?
一時払とは保険料を一括でまとめて支払いをする形態のことを言います。
一括で支払いをするため、継続的な保険料の支払いはありません。
最初に大きな金額を支払って終わりになります。
単位は商品にもよりますが、数百万から数千万になります。
終身保険とは、保険の期間の定めがない一生涯保障が続く保険のことを言います。
まとめると一時払終身保険とは、一時払(一括払い)で保険料を支払って、保障が一生涯続くという商品です。
一時払終身保険のメリットは?
一時払終身保険のメリットは何でしょうか?
それは高い運用益(保険商品なので正確には解約返戻率)です。
預金で大きな金額を預けても1%以下の金利しか付きません。
しかし、保険に入るとその当時は1%以上の金利がつき、保障がつくというメリットがありました。
つまり、預金に預けて金利がほとんどつかないなら、預け替えをするつもりで保険にした方が金利も保障もつくのでお得ですよ、ってことで販売が推進されました。
なぜ銀行で保険販売?
一時払終身保険はなぜ銀行で販売が推進されたのでしょうか?
それはお客さまの預金残高を見ることができるので、誰に提案をすれば良いかが明確だからです。
さらに銀行の主商品である貸付・融資は低金利で収益性が悪化しているので、他の収益源を求めるしかなくなります。
金利が下がって収益が悪化する簡単な例をあげます。
今まで100万を1%で貸すと1万円儲かりましたが、金利が半分になることによって5000円しか儲からなくなります。
同じ収益を上げるためには、100万ではなく200万を貸さないといけません。
お金を借りたい人はたくさんいるとは思いますが下手に貸すと不良債権化します。
だから他の収益源をもとめたのです。
保険は販売手数料が発生するので、銀行からすると非常に販売を推進しやすい商品が一時払終身保険だったのでしょう。
マイナス金利で販売停止に・・・
現在ではほとんどの保険会社で一時払終身保険は販売停止になっているでしょう。
マイナス金利の影響で、売れば売るほど採算が取れなくなってしまったからです。
保険会社の収益上の問題ですね。
この商品は金利が上がってもおそらく販売停止になっていたでしょう。
金利が上がれば一時払終身保険で運用する旨味がなくなるので、他の商品に切り替えた方が良いからです。
もともと拡販には適さない保険種類だったのではないでしょうか??
※現在はドル建ての商品が多くでているようですね
クレームも増加?
銀行窓販はもう一つ、大きな問題を作ってしまいました。
それはクレームの増加です。
お金を持っている方に年配者が多く、あまり理解もせずに、銀行から保険を進められて切り替えをしたが切り替えをしたのが保険だとは思わなかったというクレームが増加したそうです。
また保険は長期に掛けないと損をすることが多く、一度契約をしてしまうと続けるしかないという商品も少なくないのでこの点でもクレームが増加したそうです。
しかし、これはすべて銀行側の責任とは言えないでしょう。
保険の契約をするためには、それなりの契約書に印鑑や署名をする訳ですから、「保険だとは思わなかった」はあまりに稚拙な感じがします。
一時払終身保険は商品自体が悪いという事はないと思います。
保険であることを理解して、余っている資金を保障を確保しながら運用できると考えると良い商品だと思います。
しかし、すべての人に当てはまる商品ではないので、売る側も買う側もしっかりと考えて契約をしないとだめですね。